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★【名作>良作】『ファンタジックチルドレン』(2004/Ave.86.9) text by テリー・ライス


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作品NO.18 『ファンタジックチルドレン』




ファンタジックチルドレン 8583


 

ファンチル レーダー小5 テリー 【名作>良作】 2クール


世界観:80 脚本/構成:85 演出:95
キャラ:90 演技(声優):95  引き:80 劇伴:95 作画:75


Ave.86.9   詳しくはこちら     ネタバレ厳禁度:★★★★★




2004年10月4日~2005年3月28日
テレビ東京系列
全26話(総集編1話を含む)/オリジナルアニメーション
SF・冒険・ファンタジー




原作・監督・キャラクターデザイン:なかむらたかし
脚本(全話):なかむらたかし三井秀樹
総作画監督:中村深雪
音楽:上野耕路
美術監督:山本二三
アニメーション制作:日本アニメーション




<キャスト(主要)>

トーマ:皆川純子
ヘルガ:河原木志穂
チット:小林希唯
アギ:浦田優
ソレト:高口幸子
ヒースマ:原沢勝広
ハスモダイ:松本さち
タルラント:矢口アサミ





【作品概要】



大友克洋原作劇場アニメ「AKIRA」の作画監督などで知られるアニメーター、なかむらたかしのTVアニメ初監督作品。同氏が原作・キャラクターデザインも務めている。制作スタジオが「世界名作劇場」シリーズの日本アニメーションだけあって、童話的な趣も持った大人の鑑賞にも堪えうるファンタジー作品。





【目次】

 
【みどころ】

【作品の歩き方】

【スタッフで見る】
【キャラクターで見る】
【キャラクターデザインで見る】
【音楽で見る】
【背景美術で見る】
【タイトルテロップで見る】

【作品を見るには】 




■ 作品評価     【名作>良作】   



傑作 絶対観た方がよい作品 
【名作】 観るべき、マストではずせない作品 
【良作】 観た方がよい(がマストではない)作品
【佳作】 時間があるなら観ることを勧めたい作品 
【水準作】 普通だが見どころはある作品

【凡作】 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品 
【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品 
【駄作】 取り上げる価値もない作品


【傑作・名作】 傑作と名作の中間
【傑作>名作】 傑作寄り
【傑作<名作】 名作寄り
※惜作 (名作になりえた惜しい作品)

◆ 作品評価順リスト(=「見て損はない作品」ランキング )はこちら




 
■ レーダーチャート評価 


ファンチル レーダー テリー
【総得点/Ave.】   695/86.9
――――――――――――――――――――――――――――――――
世界観 : 80
脚本/構成 : 85
演出 : 95                グループA:Ave. 86.7
――――――――――――――――――――――――――――――――
キャラ : 90  (※個人差あり)
演技(声優) : 95            グループB:Ave. 92.5
――――――――――――――――――――――――――――――――
引き : 80 
劇伴 : 95                グループC:Ave. 87.5
――――――――――――――――――――――――――――――――
作画 : 75         
――――――――――――――――――――――――――――――――


100 唯一無二、これ以上はそうそう望めない最高峰 
95   最高、傑作レベル、文句なし、その作品にとってなくてはならない 
90   めちゃくちゃ良い、名作レベル
85 
80   かなり良い(強い、巧い)、良作レベル 
75   良い(強い、巧い)
70   なかなか良い(強い、巧い)、佳作レベル
65
60   普通、水準作レベル、少々物足りないが及第点は出せる 
50   凡作レベル、2流  30  失敗作レベル、3流  0  駄作・愚作レベル


※ 各パラメータが含むもの、点数の付け方など、詳しくはこちら
※ Ave.と作品評価は別、つまりAve.が75でも【名作】にすることは可能
◆ 総得点順作品リストはこちら





■ ネタバレ厳禁度   


★★★★★  (厳重注意。ネタバレによって面白さ・衝撃度が著しく低減する可能性あり)







 

【みどころ】



ネタバレ厳禁度を五つ星にしていることからもお察しの通り、あらすじは割愛する。とはいえ作品を紹介するに当たって、どういう雰囲気の物語であるのかはやはり提示しておきたい。筆者の私見が入ってしまうが極力あらすじを避けて、作品の特徴を紹介しよう。

本作で紡がれる物語モチーフは「悲劇」だ。
ここでいう「悲劇」とは「単なるハッピーエンドに終わらない劇」という定義で繰り広げられる演劇形式の事を指す。古くはギリシャ悲劇、あるいはシェークスピア悲劇など人間の複雑な感情を描く劇として今もどこかで上演し続けられている。そして、本作も照らし合わせてみれば、この定義に則った話の作りをしているのだ。近い例を挙げるならば、往年の「ファイナルファンタジー」シリーズ作だろうか。時に登場人物たちに残酷さや悲痛な苦しみが降り注ぐ事から逃げずに描いた作品だと言っても過言ではない。

全体の流れは「ある少女の数奇な運命」を主軸に進む中で、少女の内面にあるものが明らかになり、同時に彼女の意思も定まっていく。物語自体も「人の生と死」を扱った、非常に重みを伴った真摯な語り口であり、神話や児童文学的な匂いも感じられるだろう。
またDVD最終巻ブックレットで監督が語るように「自分でもわからない想いに突き動かされるキャラクター」を描いた作品となっており、それが作品全体を覆うトーンでもある。登場人物たちは葛藤を胸の奥に秘めながら、物語に沿っておのおのの形で解消されていくのが作品における見所のひとつだ。

以上からもお分かりいただけると思うが、少年少女の物語ながら作品に渦巻くのは重厚かつ辛苦を伴う人間模様だ。その中から「命の尊さ」を強く訴えかける芯の強さを強烈に感じる作品と言える。人を選ぶが、心に突き刺さった者には深く響く作品ということは保証したい。
ここまで読んで、作品の内容をどうしても知りたいという場合は公式サイト(http://www.nippon-animation.co.jp/f-children/)が今なお健在(※2017年11月現在)なのでそちらやWikipediaを参照していただきたいが、どちらも大小のネタバレ情報が詰まったページになっているのでご注意を




 
【作品の歩き方】



本作は非常にスロースタートな作品だ。2クール26話(総集編含む)ではあるが、序盤だけを見ても作品の全容は明らかにならないので要注意。特に1クール目は物語の核に繋がる要素と複線を断片的に散りばめていく展開なので、人によってはかなり退屈に感じられてしまうかもしれないが、もし可能ならば13話まで見てもらいたい。翻って言ってしまえば、13話までは複線を張り巡らせているので、それらが解消されていくのは折り返し点を越えてからである。【みどころ】でも語ったように重厚な物語なのもあり、視聴自体がかなりのカロリー消費を伴うため注意は必要だが、その分のカタルシスは折り紙付きとしたい。

より作品を楽しみたい場合は、前情報をあまり入れずに見てもらいたい。本文も作品の内容にはなるべく触れない方針で書いているので悪しからず。こういう事情から注目話数も挙げにくいが挙げるとするならば、18話24話だろう。特に24話ファンの中でも語り草になっているので気になる方は是非、視聴を推奨したい。また全話見終わった後に一から見直すと色々な発見もできる作品であることも付記しておく。

 



【スタッフで見る】



監督のなかむらたかしは「AKIRA」や「風の谷のナウシカ」などの有名作で腕を鳴らした実力派のアニメーターとして知られるが、本作ではアニメーターというよりは演出家としてその手腕を発揮している。
その他スタッフには監督として活躍する演出家もいくつか名を連ねている。名のある人物をいくつか取り上げると、「君に届け」や「鬼灯の冷徹」(第一期)、「91days」の監督として知られる鏑木ひろ(※本作では鏑木宏)、「寄生獣 セイの格率」「ALL OUT!!」で監督を務めた清水健一、「魔法使いの嫁」の監督(兼シリーズ構成)である長沼範裕(※本作では各話演出ではなく作画監督)がいる。
また日本アニメーション制作というのもあるのか、作画では後にドラえもん(水田わさび版)で活躍する丸山宏一桝田浩史が確認できる。また総作画監督の中村深雪は目立たないが、各所の作品において名前を確認できる事からも実力の高さが窺える人物だ。
また後の項目で触れるが、美術監督にはスタジオジブリ作品などで活躍した山本二三が名を連ねている。

 



【キャラクターで見る】



どのキャラクターも替え難い個性を放っているがやはり物語の中心に立つヒロイン、ヘルガ(Cv.河原木志穂)がなんといっても際立っている。主役としては、あまり他に類を見ないほど序盤に喋らないキャラクターで1話ではまったく喋らない、2話以降も気心の知れた人にしか会話しない、まともに会話し始めるのは6話辺りから、というなかなか難物なキャラクターだ。今で言えば人見知りでコミュ障、と簡単にレッテル付け出来てしまえるが、そういった彼女の背景が物語の大きな軸でもあるので注視してもらいたい。正直に好き嫌いがはっきりと分かれるキャラクター造詣であるのは否めないが、尖った魅力を感じることはできるだろう。もちろん他のキャラに魅力がないわけではないが、これ以上はネタバレになってしまうので多くは語れない。ぜひ本編を見て確認してほしい。
 



【キャラクターデザインで見る】



なかむら監督が手がけるキャラクターデザインも作品における特徴の一つだろう。昔ながらのデフォルメの利いた漫画的なデザインである一方で、そのキャラデザインの意匠にはアジア系のデザインが色濃く出たものとなっている。作中でも背景などに出てきているが、仏像や観音像のアルカイックスマイルをデザインに取り入れているようにも見え、他作品とは一線を画す点だろう。
 



【音楽で見る】



音楽は戸川純とのユニット「ゲルニカ」のメンバーとしても知られる、上野耕路。アニメ関連の仕事では本作以前に「王立宇宙軍オネアミスの翼」の音楽(※全体の統括は坂本龍一だが、彼の作ったテーマを当時若手であった音楽家3人に割り振って自由にアレンジ・編曲させている。上野はその一人)が知られる。本作ではストリングとピアノをメインにした室内楽的な現代音楽で彩っている。メロディに独特の緊張感と仄暗い不穏さを伴いつつも、一方で静謐で叙情的な曲も劇中で効果的に使われており、作品を盛り上げる要素となっている。主題歌も同様に作品のテーマを汲んだ楽曲だ。こちらも物語を理解した上で聞くと、歌詞の奥行きに胸を打たれるだろう。
 



【背景美術で見る】



本作においては背景美術が「もうひとつの主役」である。特に序盤から中盤にかけての自然描写は非常に贅沢なもので、物語を構成する要素といっても過言ではない。作品の舞台は特定の場所が設定されていないが、東南アジア界隈をモチーフにしており、その海と鬱蒼とした木々の雄大な緑に美術監督である山本二三のトレードマークといわれる「二三雲」のボリューム感、空の青さが非常に印象的だ。また「絵画」作品の重要な要素として扱われていて、エンディング映像にも使われる同じモチーフを使った三種の絵は異なる手法で同じ想いが描かれていることにも注目したい。画面を構成する上での絵の力強さを感じさせてくれるプロの技には目を見張ることだろう。
 



【タイトルテロップで見る】



また各話タイトルのテロップの出し方も秀逸だ。タイトルが配置されて初めてそのカットに「画」としての意味が表れて、完成される絵面が結構多い。あまり気にかけられない部分ではあるだろうが、この一手間が作品の奥行きを広げているのは興味深いところだ。
 



【作品を見るには】



2017年11月現在、以下の有料配信サイトで視聴が可能。
重ね重ね注意するが、記載されているあらすじを極力見ずに視聴することを推奨する


dアニメストア:https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/ci_pc?workId=11528
U-NEXT:https://video.unext.jp/title/SID0002307
GYAO!ストア:https://streaming.yahoo.co.jp/p/y/00189/v12001/normal/pack/1378/



またDVD全7巻が発売中。現在なら新品購入もまだ可能だ。

ファンタジックチルドレン(1巻の商品ページ):https://www.amazon.co.jp/dp/B0007CEY76/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_xpWaAbQCXGD09







執筆者 テリー・ライス (@terry_rice88



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作品記事、コラム記事、どちらも常時募集しております(記事5本で円盤1枚)。

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詳しくは、

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◇ 作品記事総数:73

【傑作】8
【名作】23
【良作】20
【佳作】16
【水準作】5
【凡作】0
【失敗作】1
【駄作】0

※惜作 4 ※超神回 4

(【傑作>名作】は【名作】とする)


◇ コラム記事総数:3

(2019年6月19日現在)
 
 

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作品評価基準 【深歩評価】

本企画では以下の評価基準を採用しています(詳しくはこちらをご覧下さい)。


傑作 絶対観た方がよい作品

【名作】 観るべき、マストではずせない作品

【良作】 観た方がよい(がマストではない)作品

【佳作】 時間があるなら観ることを勧めたい作品

【水準作】 普通だが見どころはある作品


【凡作】 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品

【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品

【駄作】 取り上げる価値もない作品



【傑作・名作】傑作と名作の中間
【傑作>名作】傑作寄り
【傑作<名作】名作寄り
※惜作 (名作になりえた惜しい作品)
※超神回 (ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品)


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