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★【名作】『ボンバーマンジェッターズ』(2002/Ave.90.6) text by PIANONAIQ

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作品NO.72 『ボンバーマンジェッターズ』




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ボンバーマンジェッターズ レーダー小 【名作】 4クール


世界観:95 脚本/構成:90 演出:90 
キャラ:90 演技(声優):100  引き:80 劇伴:90 作画:90


Ave.90.6   詳しくはこちら     ネタバレ厳禁度:★★★★☆





2002年10月~2003年9月
テレビ東京系
全52話オリジナル(原作・原案:ハドソン
人間ドラマ・兄弟・バトル・ギャグ・コメディ・シリアス・泣き




監督:小寺勝之
シリーズ構成:前川淳
クリエイティブディレクション・キャラクター原案:水野祥司
キャラクターデザイン・作画監督:香川久
メカニックデザイン:常木志伸
美術監督:坂本信人
色彩設計:もちだたけし
音楽:丸山和範
アニメーション制作:スタジオディーン




<キャスト>


シロボン:金田朋子
マイティ:高橋広樹
シャウト:水野理紗
バーディ:岩崎征実
ガング:柳原哲也(アメリカザリガニ)
ボンゴ:平井善之(アメリカザリガニ)
Dr.アイン:緒方賢一
ボン婆さん:麻生かほ里

バグラー:麦人
ムジョー:石井康嗣
Dr.メカード:龍田直樹

 



《ワンツイートレビュー》



ご当地ゆるキャラのような可愛らしいキャラ達が繰り広げる強烈に心揺さぶるストーリー色彩感豊かな背景美術(世界観)情感溢れる劇伴が魅力。ギャグを基調としながら「泣ける名作アニメ」と評してもよいシリアスさが醍醐味。本作が描く兄弟の物語はきっと多くの方に深い感動を与えることだろう。







■ はじめに




 「~といえば名作」、というように常に名作とセットで語られる作品(例えば『電脳コイル』や『CLANNAD』など)が稀にあるが、今回ご紹介する『ボンバーマンジェッターズ』 (以下、「ジェッターズ」)もおそらくそういう作品であるだろう。


 しかし残念なことに、2019年6月現在、大元が人気ゲームタイトルであることに起因する版権問題が原因、であるかどうかはわからないが、配信サービスで視聴することが不可能な状況が長く続いていおり、なかなか手を出せない作品となってしまっている。本作が「隠れた名作」「知る人ぞ知る作品」といわれる背景にはこうした状況が少なからず関わっているようにも思う。



 DVDボックスは早くから入手困難となっていたそうだが、2016年2月には遂にファン待望のBDボックスが発売されることとなり(初回版には特典として登場人物達が勢揃いした新録のドラマCDも付属。初回版はこちら。通常版はこちら)、これが今現在本作全52話を完走するための唯一・最善の手段となっているのが現状だ。


 ポンとそれなりの値がするボックスをいきなり買うのは多くの方にとって決して低いハードルではないだろう。そこで、作品未見者に購入を促すような優れた紹介記事があればよいのに、と思いネットを見回してみると、作品の性質上どうしてもネタバレに踏み込んだ内容の記事が多く溢れてしまっているのも悩ましく感じるところだったりする(もちろん見終えてからこうした記事を読み漁るのは楽しいのだが)。


 今回の記事では、こうしたハードルの高さを少しでも解消し多くの方に本作の素晴らしい物語を味わって欲しいという想いのもと、「深夜アニメの歩き方」の趣旨に基づき、ネタバレに踏み込まずに本作の魅力や見どころ、名作といわれる理由などについてできる限り書き記してみたいと思う。


 
 


《目次》



◇ 『ボンバーマンジェッターズ』ってどんな作品?
◇ 『ボンバーマンジェッターズ』、ここが見どころ

◇ 【視聴ガイド】




ボンバーマンジェッターズ 1 42






◆ 作品評価     【名作】   



傑作 絶対観た方がよい作品 
【名作】 観るべき、マストではずせない作品 
【良作】 観た方がよい(がマストではない)作品
【佳作】 時間があるなら観ることを勧めたい作品 
【水準作】 普通だが見どころはある作品

【凡作】 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品 
【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品 
【駄作】 取り上げる価値もない作品


【傑作・名作】 傑作と名作の中間
【傑作>名作】 傑作寄り
【傑作<名作】 名作寄り
※惜作 (名作になりえた惜しい作品)
※超神回 (ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品)

◆ 作品評価順リスト(=「見て損はない作品」ランキング )はこちら




 
◆ レーダーチャート評価   


ボンバーマンジェッターズ レーダー
【総得点/Ave.】   725/90.6
――――――――――――――――――――――――――――――――
世界観 : 95
脚本/構成 : 90
演出 : 90                 グループA:Ave. 91.7
――――――――――――――――――――――――――――――――
キャラ : 90
演技(声優) : 100             グループB:Ave. 95
――――――――――――――――――――――――――――――――
引き : 80 
劇伴 : 90                 グループC:Ave. 85
――――――――――――――――――――――――――――――――
作画 : 90         
――――――――――――――――――――――――――――――――


100 唯一無二、これ以上はそうそう望めない最高峰 
95   最高、傑作レベル、文句なし、その作品にとってなくてはならない 
90   めちゃくちゃ良い、名作レベル
85 
80   かなり良い(強い、巧い)、良作レベル 
75   良い(強い、巧い)
70   なかなか良い(強い、巧い)、佳作レベル
65
60   普通、水準作レベル、少々物足りないが及第点は出せる 
50   凡作レベル、2流  30  失敗作レベル、3流  0  駄作・愚作レベル


※ 各パラメータが含むもの、点数の付け方など、詳しくはこちら
※ Ave.と作品評価は別、つまりAve.が75でも【名作】にすることは可能
※ これまで扱った全作品の採点等は作品評価順リストの方に纏めています





◆ ネタバレ厳禁度   



★★★★☆  (要注意。ネタバレによって面白さ・衝撃度が低減する可能性あり)


※詳しくは本文にて 





 

◇ 『ボンバーマンジェッターズ』ってどんな作品?





 本作は、グッズ化やゲーム化などによりボンバーマンのブランド強化を図った活動「ボンバーマン ルネッサンス」の一環として放送され、その主軸を担ったTVアニメ作品である。


 「宇宙に一つしかないもの」を奪いまくる悪の組織(?)・ヒゲヒゲ団に対抗するため、Dr.アインが組織した正義の部隊・ジェッターズの活動を軸に、伝説のボンバーマンとして皆に慕われるマイティを兄に持つ主人公・シロボンの活躍と成長を描く、というのがあらすじとなる。



ボンバーマンジェッターズ 9 86



 声優・金田朋子の演技力と存在感がとことん光り、これ以外はあり得ないとすら思える絶妙なキャスティングとなったシロボンを中心に、基本的にはギャグやコメディー路線の楽しい作品であるが、「まさかボンバーマンでここまで描くとは」というシリアスかつ伏線を活かした巧みなストーリー展開もあり、この両極の振れ幅とギャップが多くのファンを魅了する本作の作風を形作っているといえる。



 物語後半、4クール目に入ると、それまでにばら撒かれた伏線が次々と連鎖・回収されていき最終話まで一気に駆け抜けるような怒涛の展開が続くことになる。前半のほのぼのした平和で楽しい雰囲気とのギャップはかなり激しいものになるが、その面白さはまさに止まらない面白さといってよいものである。



 本作は「子供に見せたい作品」というコンセプトを持って制作された作品でもあるが、最終話で示される力強いメッセージなどはまさにそのコンセプトが最後まで貫き通された証といえるものであろう。シロボンの成長はもちろん、他の登場人物達の心情描写も丁寧に描く本作の美点(見どころ)は数多い。次項ではそのあたりをより深く掘り下げていくことにしよう。





 

◇ 『ボンバーマンジェッターズ』、ここが見どころ





ボンバーマンジェッターズ 4 78



 子供に向けて作られた作品だが、本作における諸々の描きやクオリティは大人やアニメ玄人達(=オタク?)をも唸らせるものであり、子供騙しだと感じる部分は一切ない、というのが全話見終えての筆者の印象である(普段アニメをほとんど見ない非オタ層にも刺さる作品ではないだろうか)。


 作風の基調となっているギャグのセンスとその見せ方(演出)も非常に優れているという印象だ。例えば、ジェッターズのメンバーであり本作の笑いを象徴するようなキャラであるボンゴ(上図右)とガング(上図、左上)は芸人であるアメリカザリガニの二人がそれぞれ声優を担っており、非常に良い味を出していたりする。36話では二人が漫才を披露するシーンなどもあり注目だ。



 シロボンとジェッターズのリーダーであるシャウト(上図中央)、Dr.アインボン婆さん、など各キャラがペアを組んで毎回定番のように掛け合いを行う、といったように作中で間髪入れずギャグを挿み込むノリが徹底されているのが本作の大きな特徴。敵対する関係にありながらヒゲヒゲ団とジェッターズの攻防においても、そこには殺し合うという張り詰めた緊張感はなく、こちらが長い時間かけて攻撃を繰り出すのをわざわざ敵が待ってくれるような、やはり笑いと平和なムードが根底にある描きがなされる(こういったギャグを下敷きにした敵との緩い関係は昔のアニメでは割と多く見られた懐かしさを感じるものでもある)。

 どこか憎めない敵、という役回りではあるものの一歩間違えば作品の拙さや粗にもなりかねないこのような描きを成立させてしまっているところに実は本作の周到ともいえる凄さ――ギャグのセンスだけではないキャラ造形や背景美術含めた世界観に関わる設計や計算されて練られた設定の妙――がある、と筆者は考えている(ちなみにコメディ回においても重大な伏線が張られていることもあり、その辺も巧みなストーリー展開と評す要因のひとつである)。

   


ボンバーマンジェッターズ 3 90



 上図のように、本作はご当地ゆるキャラのような可愛らしいキャラ達による物語だが、この点が誰の目にもすぐわかる最大の外見的特徴にして最大の内面的強さを生み出している部分なのである。どういうことか?


 そもそも人間とはかけ離れた姿をしたキャラ達が生きる世界なので、視聴者である我々はシロボン達の世界をのっけから現実と比べるような目線や尺度で見るようなことはしない。これにより現実と比べることで気になってしまうような非リアリティに思える部分や描きにおける粗などを避けることができる。それでありながら、外見が現実と大きく違うことがむしろより強くキャラ達に感情移入・共感させる側面をも持ち合わせている、といったあたりが本作の内面的強さである。

 外見的特徴によって「可愛い」という萌えにも近い充実を感じつつ、平和なムードからシリアスな場面に変われば今度は一転して人形のようなキャラ達の悩みや葛藤、敵に打ち負けてボロボロになる姿が切実なものとして強烈に心に訴えてくるギャップ。「きかんしゃトーマス」といった作品にも似ているところがあるかもしれないが、このような感覚を味わえたことは私にとって新鮮な体験でもあった。


 そして、このような作品のいわば土台の上にあって我々視聴者の心を揺さぶり涙腺を強く刺激するのが、前述の「シリアスかつ伏線を活かした巧みなストーリー展開」というわけである。土台あってこそだが、「ジェッターズ」が世間で凄い、名作だといわれる大部分はおそらくここにあるといってよい。一体どんなストーリーなのか?


 と、ここで顔を出すのが冒頭で述べたネタバレ問題である。どんなストーリーなのか、何がシリアスなのか、どういうところが凄いのか、その核心部分を語ろうとするとどうしてもネタバレに踏み込むことになってしまうと。



 たとえネタバレしてしまったからといって本作の面白さが著しく失われることはない(とは思う)が、驚くべき展開に際し、それに直面するシロボンと視聴者の感情が同期するような物語設計になっているので、そこはやはりシロボンとともに我々視聴者も何も知らないまっさらな状態で物語に接するのがよりよい本作の楽しみ方ではないだろうか。



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 というわけで、詳細には触れないところまでで語るなら、ファンを虜にする本作のストーリーの中核を担っているのはマイティ(上図左)とシロボンという兄弟のエピソードである。1話で印象的に描かれる、弟想いの優しい兄の姿、伝説のボンバーマンとして皆に敬われている偉大な兄に憧れるまだまだ頼りない弟の姿はそういう意味で象徴的であり、これから始まるシロボンの成長物語を大いに予感させるものとなっている(ここでピンとくるものがあったならきっと本作の物語はあなたの心に強く響くことになるだろう)。

 またここでの「真のボンバーマンは、強くなくちゃだめなんだ」という、よくよく考えれば何故?と思ってもおかしくないセリフに妙な説得力があり気が付けば素直に頷かされているあたりも、やはり本作の世界観や設定の妙を感じる部分。キャスト陣の好演や絵、劇伴の力も大きく、こうした全てが注力し合うことで生まれるシーンの熱量でありセリフの説得力、と考えることもできる点では本作の描きを象徴するワンシーンである。


 伝説のボンバーマンとして敵味方問わず関わった者の多くに大きな影響を与えるマイティの存在は、例えるなら湖に落ちて波紋を起こす石のようなもの。マイティ自身の物語も含め、本作はマイティの存在を中心にして起こるキャラ達のドラマや心情変化を丁寧に描写していく



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 シリーズ構成・前川淳氏は本作について<子供番組だからこそ真剣に取り組んだって感じ。人の生死を真っ向から描いたら子供向けじゃないってことはないはず。>という風に述べている。




 「まさかボンバーマンでここまで描くとは」ともいわれるシリアスな側面を内包しつつ、本作の兄弟エピソードは4クールに渡って二転三転する巧みなストーリー展開と心に強く訴える名シーンを生み出しながら確かなテーマ性をも描き出していくのである。




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◇ 【視聴ガイド】



 

 4クールに渡る長丁場の物語なので、ストーリーの大まかな区切りやまとまりといった構成を頭に入れておいた方が視聴モチベーションを維持しやすくなる側面もあるのではないかと考える。そこで本項では、この辺がファンの間で「ジェッターズ」が凄いといわれるところ、注目話数などにも触れつつ4つのクールごとにその内容を簡単にまとめてみることにする(※ネタバレはもちろんしていませんが、「大まかな流れも知りたくない」「よりまっさらに近い状態で視聴したい」という方は本項を読まれない方がよいかもしれません)。



■ 1クール目 (1~12話)



 兄弟物語への大きな期待を抱かせるポテンシャル十分な1話で幕を上げる『ボンバーマンジェッターズ』。以降、最初の1クールは主にギャグやコメディなど本作の楽しい側面や世界観の魅力を存分に味わえる内容となっている。一方、シリアスな側面に関しては、キャラに死んでしまう身体としての生々しさが生じる様子が描かれる5話「地底ゴー!ゴー!ゴー!」に注目したい。まだ序盤だがこの時点で既にその力の片鱗を感じさせるものになっている。


 シロボンがボムを投げる躍動感あるバンクシーンは何度見ても気分が高揚する非常に力のある渾身の出来で、素晴らしいの一言だ。

 
 『ボンバーマンジェッターズ』という名を聞けば自動的に劇伴が流れ出す――それぐらい印象的な本作の要ともいえる劇伴は序盤からその力を存分に発揮している。例えば、ギャグが続いた後シリアスな場面に移行した時、瞬時に気持ちが切り替えられるのは情感溢れる劇伴の力が大きいからだろう。

 泣けるシーンの背後で必ずといってよいほど鳴っている琴線に触れる定番劇伴曲、ここぞという場面で流れ出し一気に視聴者の気分を高め物語に引き込む必殺の劇伴――丸山和範氏の劇伴あってこその『ボンバーマンジェッターズ』といっても決して大袈裟ではない。


 1クール目最後を締める11話「ママをたずねて三千光年」、12話「キャラボンを守れ!」の連続エピソードはどこか「ドラえもん」の泣ける名作回を彷彿させる味わいに仕上がっている。脚本を手がけたのは吉田玲子氏。個人的な意見だが、本作に数多くある泣けるとされる話数の内、吉田玲子氏の脚本担当回の割合はかなり高いものになっている印象がある。もともとそういうお話作りに定評のある方なので大いに納得するところでもあるが、「ジェッターズ」は氏の仕事ぶりにも注目したい作品である。



ボンバーマンジェッターズ 6 44



 
 主役のシロボン(上図)は偉大な兄・マイティの弟とはいえ、ボンバーマンとしてあまりも未熟であり、はっきりいって周りに迷惑ばかりかけている問題児である。その上すぐ調子に乗る性格で謙虚さのかけらもない、ので本作を見始めた方の中には、そういうシロボンにムカムカしたり「嫌い」という感情を抱くこともあるかもしれない。主役の性格が悪く好きになれない、というのはエンタメ作品において決してプラスとはいえない部分。しかし本作の場合はこのマイナスとも思えるシロボンの性格があるからこそ後々の展開がより魅力的に感じられる、ともいえる作品なのだ。

 伏線を活かした巧みなストーリー展開、と先に述べたが、本作はこのシロボンの性格に限らず、例えばヒゲヒゲ団のジェッターズのゆるい関係など、あれ?と違和感を覚えたり駄目かな?と思った部分が最後には全て解消するように設計されている。兄弟エピソードに関しても、悪くいえばこの1クール目は少々不親切で視聴者を置いてけぼりにするような見せ方とも思えるものだが、最後にはやはりしっかり納得できる描きが用意されているので、挑戦的で大胆な構成という評価が個人的にはしっくりくるところだ。

 

■ 2クール目 (13~26話)





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 敵陣営にバラエティに富んだ造形の合体ボンバーマン四天王が現れ彼等との対決を中心に物語が進む2クール目は、本作の兄弟エピソードが持つ力(=シリーズ構成・前川淳氏曰く「人の生死を真っ向から描いた」本作の魅力)を存分に味わえるクールになっている。

 圧倒的なカタルシスでクールを締める25、26話(ともに前川淳脚本回)でのクライマックス展開と熱いドラマを見れば、何故ファンがこの作品を大きく評価するのかその理由がわかるはずである(挫折~自分を見つめなおす時間、憎めない敵役にスポットが当たる流れ、など少年漫画やキッズアニメの王道ともいえる熱く心に沁みる展開も充実している)。


 他、兄弟エピソードに関わる19、22、23、24話などはどれも注目すべき話数だ(泣ける話数としても本作屈指)。22話「マイティの一番長い日」は雨の音を物語に効果的に絡めるなど演出も素晴らしいものとなっている。



 兄弟二人を中心としつつ、その周りにいるキャラ達に起こる変化の描き方も秀逸である。23話「シャウトの涙」はタイトルの通り、シャウトにスポットを当てた回だが、これまで徹底してシロボンと喧嘩ばかりするシャウトの姿や文句を言い合う二人の関係が描かれてきたからこそ、ここでの変化が強烈に刺さる――そういう意味では、本作のギャグとシリアスの振れ幅の大きさやギャップの魅力を象徴するような話数ともいえるだろう(シャウト役の水野理沙さんの好演も光る)。



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 2クール目ラストで大きな一区切りを迎える本作だが、「ご当地ゆるキャラのような可愛らしい姿のキャラ達が繰り広げる強烈に心揺さぶるストーリー」はまだここで終わりではない。「二転三転する巧みなストーリー展開」と評した通り、最後にまだまだ大きなクライマックスとドラマが控えている。

 

■ 3クール目 (27~36話)





 26話で圧倒的なクライマックスを迎えた後、27話からはこれでもかと高まった物語の熱を一端クールダウンさせるような、ギャグを中心とした日常回や単発エピソード回が続くことになり兄弟エピソードは一時お休みとなる。


 全体を俯瞰して見た時、この3クール目が引きの強さという点では最も弱いということになるかもしれないが、前項で触れた漫才シーンが注目の36話33話「アインでボン!」などを筆頭に、ギャグ回としては相変わらずの質の高さを維持しているので、そういう点では十分楽しめるはずである。


 「ドラゴンボール」の天下一武道会をどこか思い出すような、ボンバーマン達によるトーナメントバトル大会が始まる34話「激闘! B-1グランプリ!!」からは再び物語は本筋へと接近し始め、それに伴い引きの強さも戻ってくる。



 3クール目と4クール目の境目は曖昧だが、ジェッターズの日常を描いた36話「密着! ジェッターズ24時」を3クール目ラストとしておこう。ここまで触れずにきてしまったが、謎多き存在としては本作の最重要キャラともいえるマックス(下図)の影が再び忍び寄る37話からいよいよラストへ向けて本筋が動き出すことになる。



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■ 4クール目 (37~52話)




 37話からの4クール目は、次々畳みかけるように謎が明かされこれまでの伏線が回収されていく怒涛の展開と止まらない面白さ最終話まで続く圧巻のクールとなっている。最後まで二転三転しながら深いテーマ性を描きラストでしっかり着地する構成は見事である。


 後期OP曲「ホップ!スキップ!ジャンプ!」が42話というかなり遅いタイミングから始まるが、これは歌詞の内容が本編とシンクロしているなどの理由あってのもの。そのシンクロの絶妙さから「隠れたアニソンの名曲」として知られる楽曲でもあるようだ(因みに、他の3曲の主題歌も皆秀逸な出来栄えである)。


 45、48話吉田玲子脚本回は物語大詰めにあって涙腺に更なる猛威を振るうこと必至の話数。「子供に見せたい作品」というコンセプトのもと制作された作品だが、実は子供以上に大人の方が強く刺さるのでは?ということを前者の話数においては感じるし、後者は4クール作品ならではの感動を味わえるという点も含めて本作の名作評価を決定づけるような、この作品を代表するような回でもあるだろう。





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最後に、


 ラストクールで特筆すべき点として忘れてならないのは、本クールを構成する16話中、2話を除いた全ての話数において小寺勝之監督自らが単独でコンテを切っていることである(偉業といってもよいものだろう)。


 最終4話など、本作の本筋に関わる重要話数の脚本を一手に引き受けたシリーズ構成・前川淳氏。キャラクター原案・クリエイティブディレクションとしてクレジットされ監督やシリーズ構成とともに制作において中枢的役割を果たしたのではないかと思われる水野祥司氏。この音楽あってこその「ジェッターズ」ともいえる本作の愛すべき劇伴を生み出した丸山和範氏。彩り豊かな本作の世界観を象徴し笑いと泣きのギャップの源にもなっている背景美術を作り上げた美術監督・坂本信人氏と色彩設計・もちだたけし氏――



一切不満なし、堂々の完結最終話を見終えてここまで迷いなく断言できる作品はそうそうないだろう。



 各スタッフがそれぞれ愛を持って丁寧な仕事で尽くしたとしても名作になる確実な保証はないのが総合芸術であるアニメ制作の難しさ。その中にあって『ボンバーマンジェッターズ』という掛け値なしの名作が生み出されたことに感謝し、そのかけがえのない物語を体験できた幸せをあらためて噛みしめながら筆を置くことにしよう。




ボンバーマンジェッターズ 10 57







執筆者 : PIANONAIQ (@PIANONAIQ




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◇ 作品記事総数:73

【傑作】8
【名作】23
【良作】20
【佳作】16
【水準作】5
【凡作】0
【失敗作】1
【駄作】0

※惜作 4 ※超神回 4

(【傑作>名作】は【名作】とする)


◇ コラム記事総数:3

(2019年6月19日現在)
 
 

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傑作 絶対観た方がよい作品

【名作】 観るべき、マストではずせない作品

【良作】 観た方がよい(がマストではない)作品

【佳作】 時間があるなら観ることを勧めたい作品

【水準作】 普通だが見どころはある作品


【凡作】 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品

【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品

【駄作】 取り上げる価値もない作品



【傑作・名作】傑作と名作の中間
【傑作>名作】傑作寄り
【傑作<名作】名作寄り
※惜作 (名作になりえた惜しい作品)
※超神回 (ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品)


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