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★【名作・良作】『アイドル伝説えり子』(1989/Ave.81.9) text by PIANONAIQ

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作品NO.71 『アイドル伝説えり子』




アイドル伝説えり子


 

えり子 レーダーチャート小 【名作・良作】 4クール


世界観:90 脚本/構成:80 演出:85 
キャラ:85 演技(声優):80  引き:75 劇伴:80 作画:80


Ave.81.9   詳しくはこちら     ネタバレ厳禁度:★★★☆☆





1989年4月~1990年3月
テレビ東京系列
全51話オリジナル
アイドル・音楽・ドラマ・サクセスストーリー・伝説




監督:アミノテツロー
シリーズ構成:小山高生
キャラクターデザイン:山内則康
音響監督:田中英行
音楽:渡辺俊幸
アニメーション制作:葦プロダクション




<キャスト>


田村 えり子:矢島晶子(歌:田村英里子
朝霧 麗:松井菜桜子(歌:橋本舞子
阿木 星吾:松本保典(歌:有待雅彦
大沢 洋:柴本浩行(歌:片山諭
仲田 靖子:鷹森淑乃
山形 麻美:本田知恵子
田村 雄介:土師孝也
田村 美奈子:滝沢久美子
田村 項介:飯塚昭三
朝霧 良子:榊原良子

 



《ワンツイートレビュー》



スマホもネットもない時代の芸能界とアイドル歌手活動の様子をリアルに再現するドキュメンタリー性と大映ドラマシリーズに通じる劇的かつ衝撃的な物語展開がもたらすエンタメ性の両立が魅力。「伝説」を描く最終話でのタイトル回収の鮮やかさ等、昨今のアイドルものとはまた違った感動を味わえる作品。


 
 


《目次》



◇ 『アイドル伝説えり子』ってどんな作品?
◇ 『アイドル伝説えり子』、ここが見どころ

◇ 【視聴ガイド】





アイドル伝説えり子 5 31






◆ 作品評価     【名作・良作】   



傑作 絶対観た方がよい作品 
【名作】 観るべき、マストではずせない作品 
【良作】 観た方がよい(がマストではない)作品
【佳作】 時間があるなら観ることを勧めたい作品 
【水準作】 普通だが見どころはある作品

【凡作】 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品 
【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品 
【駄作】 取り上げる価値もない作品


【傑作・名作】 傑作と名作の中間
【傑作>名作】 傑作寄り
【傑作<名作】 名作寄り
※惜作 (名作になりえた惜しい作品)
※超神回 (ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品)

◆ 作品評価順リスト(=「見て損はない作品」ランキング )はこちら




 
◆ レーダーチャート評価   


えり子 レーダーチャート
【総得点/Ave.】   655/81.9
――――――――――――――――――――――――――――――――
世界観 : 90
脚本/構成 : 80
演出 : 85                 グループA:Ave. 85
――――――――――――――――――――――――――――――――
キャラ : 85
演技(声優) : 80             グループB:Ave. 82.5
――――――――――――――――――――――――――――――――
引き : 75 
劇伴 : 80                 グループC:Ave. 77.5
――――――――――――――――――――――――――――――――
作画 : 80         
――――――――――――――――――――――――――――――――


100 唯一無二、これ以上はそうそう望めない最高峰 
95   最高、傑作レベル、文句なし、その作品にとってなくてはならない 
90   めちゃくちゃ良い、名作レベル
85 
80   かなり良い(強い、巧い)、良作レベル 
75   良い(強い、巧い)
70   なかなか良い(強い、巧い)、佳作レベル
65
60   普通、水準作レベル、少々物足りないが及第点は出せる 
50   凡作レベル、2流  30  失敗作レベル、3流  0  駄作・愚作レベル


※ 各パラメータが含むもの、点数の付け方など、詳しくはこちら
※ Ave.と作品評価は別、つまりAve.が75でも【名作】にすることは可能
※ これまで扱った全作品の採点等は作品評価順リストの方に纏めています





◆ ネタバレ厳禁度   



★★★☆☆  (少し注意。ネタバレによって面白さ・衝撃度が少し低減する可能性あり)





 

◇ 『アイドル伝説えり子』ってどんな作品?





アイドル伝説えり子 8



 本作の主人公は芸能プロダクション・タムラプロ社長の娘として幸せに暮らしていた中学3年生の少女・田村えり子(上図)。彼女が芸能界を舞台にアイドル歌手としてデビューし様々な試練を乗り越えながらトップアイドルへと成長していく姿を描くサクセスストーリー、というのが大まかなあらすじであり作品の輪郭となる。「クレヨンしんちゃん」で有名な矢島晶子さんの主役デビュー作でもある。



 本作の大きな特徴でありまた特筆すべき点としては、実在のタレント・田村英里子(下図)とタイアップして制作されていることがまず第一に挙げられる。これにより、全話に渡って田村英里子の楽曲が使用可能となったことが、音楽面やライブシーンの充実につながったのはもちろん、放送当時の芸能界・アイドル活動の様子をリアルに描いた本作のドキュメンタリー映像的側面にもより大きな説得力を与えることとなった(※下図、通算3枚目となるシングル曲「真剣」も本編で使用されている)。



アイドル伝説えり子 6 61



  • 「魅せられて」 歌:ジュディ・オング
  • 「ブルー・ライト・ヨコハマ」 歌:いしだあゆみ
  • 「木綿のハンカチーフ」 歌:太田裕美
  • 「ギンギラギンにさりげなく」 歌:近藤真彦
  • 「人魚」 歌:NOKKO
 

 田村英里子が歌うOP曲「涙の半分」を筆頭に多くの挿入歌を作曲しているのは、上記のような大ヒット曲を数多く生み出し作曲作品総売上枚数で歴代1位を誇る大作曲家・筒美京平氏ということで(wiki参照)、音楽面の充実も折り紙付き、といってよい作品である(ED曲は田原俊彦中森明菜などやはり多くのアイドルに楽曲を提供している都志見隆氏作曲で、こちらもOPに負けない存在感を示している。編曲では、後にミスチルをプロデュースし時の人となる小林武史氏の名前も見受けられる)。


 物語面においては、主人公に次々と襲い掛かる不幸、強烈な悪役の造形、泥沼化して行くストーリー、劇的展開とカタルシス、それらを大仰に盛り立てる滝沢久美子のナレーションなど、『スチュワーデス物語』『スクール☆ウォーズ』『スワンの涙』といった多くの有名タイトルで一世を風靡した大映ドラマシリーズに通じる作風が特徴であるといえる(本編を見ていただければすぐに感じ取れるところなので詳しい説明は省くが、良くも悪くも何しろ大仰かつ濃厚なので、好みの大きく分かれるポイントではあるだろう。今の若いアニメファンには殊更大きなインパクトを与えることと思う)。 



アイドル伝説えり子 3 40



 wikiによると、『アイドル伝説えり子』は関連商品の売上が80億円にも達した大成功作であったようである(この成功により後番組として『アイドル天使ようこそようこ』が製作された、ともある)。



 筆者が本作を視聴したのは割と最近のことで、こうした成功云々、放送当時の様子や評判について詳しく語ることはできないが、今こうして筆を取っているのは、本作が紹介するに値する(紹介したいと心から思える)素晴らしい内容のアニメ作品であったから。


 最終話でタイトル通りの“伝説”を見せてくれる『アイドル伝説えり子』――


次項ではそんな本作の魅力、見どころについてもう少しだけ掘り下げてみることにする。





アイドル伝説えり子 4 31





 

◇ 『アイドル伝説えり子』、ここが見どころ





 本作について思いを巡らせてみると、

  • 作品を彩ったかけがえのない名シーンの数々
  • 伝説を見せてくれた最終話の充実とその後の余韻
  • 魅力的なキャラクター達の思い出

といったものが頭に浮かび、心に何か熱い感情の火が灯るような満たされた気分になる。


 これら全てに通じる本作の基盤となっているのが、先にも触れた、放送当時の芸能界や社会、世間で流行ったもの、風俗などを丁寧に描写した「時代を切り取った作品」としての側面である。



 平成元年(1989年)に放送を開始した本作が描くのは、スマホもネットもない時代の、まだまだ昭和の面影が色濃く残る芸能界



アイドル伝説えり子 16 31



 アイドル達が活躍する芸能界を中心に当時の文化や空気感を知ることができる歴史的資料としての価値も高い作品、というのは筆者の個人的見解を脱しない部分ではあるが、平成も終わり令和が始まった今「へー、この時代ってこんなだったんだあ」という視点を持ちながら視聴できるところはそのまま本作の面白さといってもよい部分ではないだろうか余談になるが、2018年のヒット作『ゾンビランドサガ』には昭和のアイドルと思わしきキャラが登場する。昭和のアイドル活動がどんなものだったか、彼女のバックボーンと価値観を知る上でも『アイドル伝説えり子』はもってこいの作品、かもしれない)。


 こうした当時の様子をかなり忠実に再現するドキュメンタリー性を土台としながら、そこに大映ドラマシリーズ特有の劇的な展開がもたらすエンタメ性が加わり本作の物語は紡がれていく。そこで中心的に描かれるのはもちろんえり子の成長でありその激動の人生ということになるが、えり子と彼女に関わる脇役達によって織りなされていく人間ドラマ――群像劇としての側面も本作の大きな魅力となっている。



アイドル伝説えり子 2 75



 上の画像はネットから借用させていただいたものだが、本作におけるキャラの存在感や配置、関係性を非常に的確に表したものとなっているので、以下これを使いながら本作の群像劇としての魅力を語る上で欠かせない主要キャラについて説明を進めていく。


 画像中央上に位置するのが本作の主人公・田村えり子。芸能プロの社長・田村雄介と元人気歌手・美奈子(画像右下)を両親にもち、二人の溢れる愛の中育ったえり子はまさにサラブレットといってよい、品の良さと優しい心、天性の音楽的素養を持った少女である。



アイドル伝説えり子 9 83



 その才能に寄せられる周りの期待とは裏腹に、音楽の道を志してはいなかったえり子ある出来事をきっかけに(この辺の展開が最初に目に飛び込んでくる大映ドラマシリーズの特色ともいえるものだろう)、アイドルを目指すことになるのだが、そこに待ち受けているのは苦難と波乱に満ちた劇的な運命である。

 両親から受け継いだ音楽の才能と、誰からも愛される人としての魅力、愛らしい笑顔はアイドルに相応しいもの。『アイドル伝説えり子』は彼女がトップアイドルとして、また一人の少女として成長していく姿を4クールに渡って丁寧に描いていく。



アイドル伝説えり子 14 61



 画像中央下にえり子以上の存在感で位置しているのは、本作もう一人の主人公といってもよい朝霧麗である(上図)。物語序盤から既にトップアイドルでありえり子の憧れの存在として登場するは、複雑な家庭環境を持ち両親の愛に恵まれずに育った背景などもあり(画像左下は麗の母親である朝霧良子)、えり子とは180度まったく性格の異なるキャラクターとなっている(最初はえり子に対し鋭い敵意を向けてくる)。

 本編ではこの二人の関係性(の変化)がほぼ4クールに渡って描かれていくことにもなるが、同じトップアイドルへの道を強い信念を持って歩む同志として、芸能界の先輩後輩として、あるいは友達として、時に二人が様々な立場で互いを認め合い心を通じ合わせる光景は実に感動的である。


アイドル伝説えり子 13 85


 周囲の大人達による思惑やより大きな運命によって二人の関係性は絶えず揺さぶられながら変化を続けていくが、そこで見られる歯痒くなるような展開や濃密なドラマはやはり大映ドラマシリーズならではの味わいともいえる部分であり、最後まで非常に見応えのあるものになっている(終盤、二人があるオーディションで一つの座を賭けて競うことになるが、そこで二人が見せる壮絶な闘いは、それまでの人間ドラマの集大成であり、またアイドルとしての才能のぶつかり合いでもあり、一見の価値のある極めて熱いシーンが畳みかけるように展開されていくこととなる)



 画像中央左右にそれぞれ位置する二人の男性(左:大沢洋 右:阿木星吾)は、やはり性格や立場はまったく異なるが、えり子と同じく音楽に真剣に向き合うところでは共鳴し合う才能溢れるキャラだ。

 浜田省吾をどこかイメージさせる人気ロックバンドのボーカルにして男性アイドル並みの人気を誇る阿木星吾(下図)は、えり子にとって頼れる兄貴的存在であり密かな想いを抱く相手……この二人の関係とやりとりも本作の見どころといえよう。


アイドル伝説えり子 12 85



 えり子星吾――性格も才能も志す音楽の方向性もまったく異なる4人がアーティストとしての直感で惹かれ合い同じステージで共演するシーンは本作でも屈指の名シーンとなっている。本作の群像劇が迎えるひとつのピークともいえる象徴的シーンだ。

 そのライブステージにたまたま居合わせた観客たち(モブ)はその場限りの奇跡の瞬間を目にした、というように描かれているわけであるが、おそらく視聴者である我々の多くもきっと同じように感じるはずである。キャラクターが脚本によって動く創作物語において、その中でも特に音楽を扱った作品でこうしたシーンに巡り合えることはそうそうないだろう。制作陣の綿密な計算からはずれたところで予想外の力が発揮されたのではないか?――そのように思えてならない本シーンは筆者にとってまさに奇跡のようなシーンである。




 他、画像上部左右に位置する女性二人(左:仲田靖子 右:山形麻美)はえり子を陰で支えるキャラクター達。強烈な悪役が物語の中央に居座る本作において、えり子を支え助けてくれる多くの脇役達は見る者にほっとできるような安心感を与えてくれるかけがえのない存在となっている(この点では、えり子が飼っている二匹の可愛らしいワンちゃん、フォルテシモピアニシモも本作のホームドラマ的側面に欠かせない癒し的存在である)。その中でもえり子にとって特に大きな存在であるこの二人には見せ場となるような回もしっかり用意されている(下図はえり子の親友・山形麻美)。


アイドル伝説えり子 10 80


 えり子のアイドルの道(夢)を妨害しようとする悪役によって執拗に繰り返される姑息極まりない行動は見ていて当然気持ちのよいものではないが(しかしそのやり方はなかなかリアルであり芸能界ものとしての説得力は感じられるものになっている)、それに打ち勝って成長していくヒロイン、というドラマの作り方とそこで生まれるカタルシスもまた大映ドラマシリーズならではといえる部分である。憎き悪役、といえどその生き様をしっかり描いてくれるところも本作の大きな見どころだ。



 以上、このような敵味方含め多彩な、それぞれの思惑と立場を持ったキャラ達によって『アイドル伝説えり子』の物語は紡がれていき、最後に「アイドル史に刻まれし伝説」が描かれるのである。



 次項では、4クールに渡る長大な物語の視聴をスムーズに進めていくのに役立つと思われる情報について書き記し本稿を終えることにする。
 




 

◇ 【視聴ガイド】





 大映ドラマシリーズの特徴として挙げられる次回への強烈な引き、という点では本作も例に漏れず割と高いモチベーションを維持しながら見続けられる作品であるとは思うが、4クールという長尺にあってどうしても視聴が滞ってしまう(退屈に感じてしまう)局面があることも経験上予想できるところではある。
 

 そこで本項では、最後に描かれる伝説(完走)まで出来るだけスムーズに視聴を進められるように、4クールを大きく二分する構成と、その各構成の中に幾つか存在する物語的まとまり、注目話数などについて初見者の視聴のお供になるようなガイドとして整理してみることにする。注目話数に関しては、もちろんネタバレには配慮しているが、~話が名作回、という情報すら目に入れたくない作品未見者の方は(視聴後まで)読まれないことをお勧めします。(「そして伝説へ……」編へ飛ぶ

 


1話~39話  「目指せトップアイドル!」編





 アイドルになろうなどとは露ほども考えていなかったえり子が、大きな運命の渦に巻き込まれるように芸能界に入りトップアイドルへの道をひたすら突き進む、本編の約4/5を占めるまさに『アイドル伝説えり子』 の本伝ともいうべきパートがこの「目指せトップアイドル!」編だ(名前は筆者が適当に考えたもの、命名センスの無さについては悪しからず……)。


 『アイドル伝説えり子』という作品は少し興味深い構成になっていて、トップアイドルになることを最終目的とするならば、それは「目指せトップアイドル!」編ラストとなる39話年末ディスク大賞回で盛大なクライマックスを迎えてしまうのである。それは長きに渡って描かれてきた「えり子と麗の関係」についても同様で、そういう意味でも39話は本作の最終話といわれてもおかしくないほどのカタルシスに満ちた屈指の話数となっている。




アイドル伝説えり子 15 80



  • 1話~11話


 1話で衝撃的に幕を開ける本作の物語。このフェーズ(物語的まとまり)では、初めて大勢の観衆の前で歌う、初デビュー、などトップアイドルへの果てしない道を歩み始めたばかりのえり子の、右も左もわからない芸能界のアイドル歌手活動において初めての体験を重ねていく姿が中心的に描かれていく。


 劇的シチュエーションの中で閃く才能、には少し身震いしてしまうほどの高揚感があり序盤パートで散見される見どころであるが、この点で特に注目したいのは3話7話だ。『アイドルマスター』『ラブライブ!』などとはまた違ったカタルシスを感じられるのではないかと思う。


 8話は、友情を描いた良回。本作を彩る脇役陣の魅力を感じ取れる話数となっている。



 9~11話は、「えり子と麗の関係性」を描く最初の連続エピソード。しっかり信念を持ったライバルキャラがいると物語は引き締まることを実感させてくれる良エピソードだ。



アイドル伝説えり子 11



  • 12話~30話


 このあたりから悪役による妨害はその姑息さを増していくが、それと比例するように劇的展開の畳みかけの勢い、物語の面白さも増していく。(妨害のせいで)順風満帆とはいかないアイドルの道を歩み始めたえり子のアイドル下積み時代、そして地道な活動と努力が徐々に実を結び才能に磨きがかかっていく才能開花時代を描くのが本フェーズである。


 14~15話は地道な活動を続けるえり子がアイドルとして一歩成長する姿を描く連続エピソード。特に15話えり子の対比も光る良回となっている。


 16話は当時の様子を丁寧に描写する本作の細やかさと徹底ぶりに「ここまでやるか」と感心するアイドル地方営業回18話アイドル水泳大会回22話ラジオパーソナリティー挑戦回と、このあたりはどれもそういう観点で注目に値する話数。エピソード的にも脇役達の新たな魅力が顔を出すなど充実している。



アイドル伝説えり子 17 32



 20話が前項で触れた本作屈指の名シーンのある回。魅力的なキャラ達を作り上げたうえで、劇的シチュエーションを用意し絡ませる――そんな本作が持つ群像劇としての側面を象徴するシーンでもある。3話とリンクしているあたりも注目したいところ。

 余談だが、筆者の中にはエンタメ作品を見る時に「キャラ達の人生を見届けたいと思うかどうか」という指標のようなものがあり、それが良作以上の作品となるかならないかの分かれ目にもなったりするのだが、これでいえば本作はそのように思える作品である。   


 23話山中湖野外フェス回は、当時のアイドル歌手が実際に経験したであろうイベントをしっかり物語に組み入れてくるリアルさ、の中に外連味ある劇的展開を混ぜ込む按配がやはり魅力であると感じられる話数。このビッグイベントにおいてステージで歌われる楽曲が物語序盤からこれまで何度も使われてきたものである故に、そこにしっかりアーティストのレパートリー感を感じ取れるところも高い充実感をもたらす要因だろう。えり子ファンに愛される定番楽曲を大事に歌う姿が胸を打つ、ライブシーンの充実した話数ともいえる。


 との関係にさらなる変化が生まれる29話あたりでは、次へ次へ止まらない面白さが更に加速し、大映ドラマシリーズならではストーリーものとしての本作の強みをいよいよ感じられるのではないかと思う。そして二人の複雑な関係はクライマックスとなる次フェーズへと引き継がれて行く――



アイドル伝説えり子 21



  • 31話~39話


 「目指せトップアイドル!」編ラストへ向け、視野がぐっと広がり世界観の奥行きが増すような興奮する展開で一大局面に突入するフェーズ。長きに渡って描かれてきた「えり子と麗の関係」と「えり子のトップアイドルへの道」は遂にクライマックスを迎える――


 36、37話は、前項で触れた二人の壮絶な闘い(才能のぶつかり合い)が描かれるエピソード。カオスティックな熱量に圧倒されるシーンの凄みはきっと初見者の想像を上回るに違いない。

 


40話~51話  「そして伝説へ……」編





 本作の構成は興味深い、と先に述べたが、その大きな要因となっているのがこの「そして伝説へ……」編の存在である。ここで描かれるのはトップアイドルになるという大きな夢を叶えお茶の間の人気者となったえり子のその後の物語。外伝エピローグといわれてもしっくりくるような内容の静的なエピソードが、39話で圧倒的クライマックスを迎えた後ほぼワンクールに渡って紡がれる異色のパートともいえる。


 本パートでは、これまでアイドルとしての仕事に全てを捧げるように青春を慌ただしく過ごしてきたえり子が一歩立ち止まり、友達、学業に学生生活、自身の人生など忙しいアイドル活動の陰に隠れ疎かになっていた様々な部分にじっくり目を向けるような日常回的、あるいは脇役を中心に据えたエピソードが多く描かれることになのだが、そこで燃え尽き症候群のように思い悩むアイドルの姿があたかも「目指せトップアイドル!」編で十全に満たされ燃え尽きた我々視聴者と重なって見える(?)ような構成が興味深いのである。この点では意欲的な構成に挑んだ作品と評価することもできるだろう。



アイドル伝説えり子 18 81



 各エピソードの質は決して低いものではなく、これまでの積み重ねによる4クール作品の重みを心地よさとしてしみじみ感じられるシーンも多い。けれども、劇的展開の連続と強い引きを軸に終始緊張感のある中で物語が紡がれた「目指せトップアイドル!」編と比べると、トップアイドルになるという大きな目標がなくなったことでこうした本作の強味であった部分が急に影を潜める「そして伝説へ……」編に物足りなさを感じる方も少なくないのではないかと思う(何を隠そう、筆者もその一人である)。

 ただ、仮にそう感じられたとしても、ワンクールに渡って自身の内なる声に目を向け思い悩み続けたえり子が最後に導きだす答えと「伝説」が描かれる最終話までは何とかモチベーションを上げて辿り着いて欲しい、と切に願って止まないのである。




 46、47話は、アイドル活動と学生生活の両立を描いた珍しい回。重ね重ね述べてきた本作のアイドルものとしてのリアルな側面を感じさせてくれるエピソードになっている。



アイドル伝説えり子 20




 48話は、最終パート屈指のライブ回。観客席に勢揃いする脇役達の姿。皆がそれぞれの想いを胸にえり子の歌を聴く。そしてえり子は感謝の気持ちを歌に託す。幸福な光景に自然と涙腺が緩む4クール作品ならではの感動を味わえることだろう。



 50、最終51話は『アイドル伝説えり子』という作品を象徴するような、最後を締め括るにふさわしい連続エピソード。


 田村えり子という実在のアイドルが一昔前の日本に確かに生きていた――

そんな豊かで幸福な想像を喚起させるフィクションの力、キャラ総出のクリティカルな脚本、そしてまさに「伝説」というより他ない奇跡のような出来事を描いてみせたタイトル回収の素晴らしさとそれによってもたらされる心地よい余韻――



 
 伝説とは何か?それは是非あなたの目で確かめて欲しい、とそう切に。





アイドル伝説えり子 7






執筆者 : PIANONAIQ (@PIANONAIQ




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◇ 作品記事総数:73

【傑作】8
【名作】23
【良作】20
【佳作】16
【水準作】5
【凡作】0
【失敗作】1
【駄作】0

※惜作 4 ※超神回 4

(【傑作>名作】は【名作】とする)


◇ コラム記事総数:3

(2019年6月19日現在)
 
 

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傑作 絶対観た方がよい作品

【名作】 観るべき、マストではずせない作品

【良作】 観た方がよい(がマストではない)作品

【佳作】 時間があるなら観ることを勧めたい作品

【水準作】 普通だが見どころはある作品


【凡作】 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品

【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品

【駄作】 取り上げる価値もない作品



【傑作・名作】傑作と名作の中間
【傑作>名作】傑作寄り
【傑作<名作】名作寄り
※惜作 (名作になりえた惜しい作品)
※超神回 (ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品)


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