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★【名作】『Back Street Girls -ゴクドルズ-』(2018/採点なし) text by すぱんくtheはにー

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作品NO.59 『Back Street Girls -ゴクドルズ-』




ゴクドルズ イメージ90


 

ゴクドルズ レーダー小5 【名作】 1クール   


世界観: 脚本/構成: 演出:     
キャラ: 演技(声優):  引き: 劇伴: 作画:   


※採点なし   詳しくはこちら     ネタバレ厳禁度:★★☆☆☆





2018年7月~9月
BS11、他
全10話マンガ原作ジャスミン・ギュ
ギャグ・アイドル・任侠




監督・絵コンテ・演出:今千秋
シリーズ構成:山川進
音楽:月蝕會議
アニメーション制作:J.C.STAFF




<キャスト(主要)>

山本アイリ/山本健太郎:貫井柚佳小野大輔
立花マリ/立花リョウ:前田佳織里日野聡
杉原チカ/杉原和彦:赤尾ひかる興津和幸
犬金 鬼万次郎:藤原啓治
マンダリン木下:諏訪部順一




 

【目次】

 
【あらすじ】   

【みどころ】

【視聴ガイド】 




■ 作品評価     【名作】



傑作 絶対観た方がよい作品 
【名作】 観るべき、マストではずせない作品 
【良作】 観た方がよい(がマストではない)作品
【佳作】 時間があるなら観ることを勧めたい作品 
【水準作】 普通だが見どころはある作品

【凡作】 酷いが全否定ではない、どこか残念な作品 
【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品 
【駄作】 取り上げる価値もない作品


【傑作・名作】 傑作と名作の中間
【傑作>名作】 傑作寄り
【傑作<名作】 名作寄り
※惜作 (名作になりえた惜しい作品)
※超神回 (ずば抜けて素晴らしい名作回がある作品)

◆ 作品評価順リスト(=「見て損はない作品」ランキング )はこちら




 
■ レーダーチャート評価       ※採点なし(理由は本文中に記載)  





■ ネタバレ厳禁度   


★★☆☆☆  (ほとんど問題なし)







 

【あらすじ】





ゴクドルズ イメージ0




「お前ら今からタイ行って性転換と全身整形手術受けてアイドルやれ、それか使える臓器全部売るか、5秒やる、選べ」


大きなヘマをやらかした暴力団・犬金組の構成員、健太郎リョウカズ組長から落とし前としてそう命じられる。

三人は手術を受け、元男だということを隠し、女性裏路地アイドルグループ『ゴクドルズ』としてデビューした。当初はすぐに頓挫すると考えていた三人だったが、思いとは裏腹に人気が出てしまう。

そのため組の資金源として期待されることとなり、『ゴクドルズ』を辞めるに辞められなくなった三人の行く末は……。











 

【みどころ】





存在しないものをあるように錯覚させる。存在する現実を忘れさせる。


それが虚構の本質的な作用だとするのなら、本作はそこに全てを賭けた怪作であり、それにより恐るべき批評性を持った問題作である。


《ヤクザの構成員三人が大失態をし、消されることを回避する条件として提示されたのが「性転換および美容整形手術を受け、アイドルになり組のために資金を稼げ」というものだった。命の惜しい三人はその条件を飲み、少女の姿となってアイドルとして活動することになる》


本作の概要はこの時点で、いくつもの問題を射程に捉えている。


二次元作品の時点で、その見た目はかなりのレベルで自由自在だ。元がどんなおっさんであろうとも、そこに描かれる「性転換および美容整形手術」を受けたあとの姿は、アイドルとして活動するのになんら支障がないものになっている。



ゴクドルズ イメージ1 48

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それは容易く「ルッキズム」の問題に踏み込んでいく。


「おっさんでヤクザ」と「美少女でアイドル」――それは「美しいものは善である」というステレオタイプを利用し、私たちの認識をハックする。

中身が同じ暴力団という非合法組織の構成員でも、外観によって社会の反応が変化してしまうこと、それは私たちがどれだけ「見た目」という要素に左右されているかをあぶりだす。


あるいは「中身」の部分に注目するならば、本作におけるメインキャラクターたちにとって「中の人」という表現は2つの意味を持つ。

作品設定としての「本当はヤクザのおっさんである」という意味での「中の人」、もう一つは「アイドルのキャラクターに声を当てている声優」という意味での「中の人」だ。


昨今のアイドルアニメ(あるいはそれに類するコンテンツ)において、「中の人」である声優もまたムーブメントを構成する一要素として無視できない。

例えば『ラブライブ!』では、キャラクター高坂穂乃果を好きになると同時に、その声優新田恵海がライブで歌い踊る様を喜んで観賞する姿勢は、当然のように両立している。


本作ではその「中の人」が持つ意味を複数化することによって、その受容に一つの疑問を投げかけている。

ここで描かれる「アイドル」にとって「中の人」との距離を考えるなら、設定上は本体である「ヤクザのおっさん」のほうが、「声優」よりも近い位置にいる。だがそういった「中の人」の在り方とは無関係に、作中のアイドルファンたちは、歌い踊る「アイドル」に熱狂する。

ギャグアニメとして本作を見る私は、そのファンの姿に滑稽さを覚える。それはつまりキャラクターと声優を等価に受容しようとする姿の戯曲化と言えるだろう。


だが本作が優れているのは、それが決して否定ではないことだ。


本作の「アイドル」はファンを騙している、だが騙しているからこそ「騙し通す」決意をする。

ファンもまた目の前に存在する「アイドル」そのものに愛情を傾ける。真相はそこでは覆い隠されている。

しかしながらお互いに交換される「本気」、それこそがこの場を支配する倫理として浮かび上がってくる。

それは滑稽であるがゆえの、ギャグ作品だからこそ描ける、儚く美しい関係性の肯定に他ならない。

この複数の層が折り重なった作品への目線を提供しているのが、「アイドルもの」の流行とそれに伴う表現の進化に逆行するような本作の描き方である。


まずOPでは細かい所作も含めて、ダンスするキャラクターたちが映る。しかしその姿は綿密な動作と裏腹に、ピンク青黄色で塗りつぶされた人型のままである。またその動きは確かにダンスモーションとしてほぼ完璧に見える、がどこかに違和感を感じる



ゴクドルズ イメージ4 52



いっぽうで本編では、ライブシーンがほぼ静止画(というかそれ以外もほぼ動かない)で進行する。

しかしOPでのダンスシーンは元より、幾多の「アイドルアニメ」を見てきた視聴者にとって、そのライブシーンを幻視するのは実に容易である。存在しないライブシーンを、まるで見ているかのように誤認させる。

多くのアイドルアニメが描いてきたものをバックボーンとすることによって、そこに「存在しないものをあるように錯覚させる」虚構を召喚しようとしているのだ。


その上でもう一度OPを見ると、違和感の正体に気付くだろう。


OPのダンスシーンはよく動く、いや「動きすぎて」いる。


それもそのはず、これは監督今千秋が実際に踊った姿のシルエットを取り込んだものなのだ。


アイドルアニメ」の過剰とも言える表現に慣れてしまった私たちは、OPでのダンスに「最近のアイドルものはやっぱすごいなぁ、ギャグ作品でも手を抜かないんだもん」と、慣れてるがゆえにありもしないアニメーションを、まさに実像を覆い隠す「虚構」を見てしまうのだ。それもまた「存在する現実を忘れさせる」という機能に他ならない。


もう一度言おう。


「それが虚構の本質的な作用だとするのなら、本作はそこに全てを賭けた怪作であり、それにより恐るべき批評性を持った問題作である」


それはこれまでに作られてきた「アイドルアニメ」という歴史そのものに全てを賭け、視聴者がこれまで見てきた「アイドルアニメ」の蓄積が幻となって立ち上がることを信じた(そのため、視聴者の経験が大きく影響することから、レーダーチャートの採点は不能とした)。

それは正しく「偶像という意味でのアイドル」を再認識させ、アイドルというコンテンツの危うさにも足を踏み入れてしまっている。


そういった点で、本作は間違いなく「アイドルアニメ」を賭場に変え作品によって賭博を行った「ヤクザもの」とも言えるだろう。







 

【視聴ガイド】




◆注目話数


OP/1話3話4話7話




なにはともあれOPを見ていただきたい。それと基本設定および、作品の方向性を描く第1話

外見の問題に対して、自ら切り込んだ第3話。ファンの姿が克明に描かれる第4話

そして『ゴクドルズ』という存在を揺るがす新メンバー加入の第7話


すべてギャグとしても申し分ない出来になっており、必見です。







ゴクドルズ イメージ2 33






執筆者 : すぱんくtheはにー (@SpANK888


ブログ「ゲームばっかりやってきました」
https://spankpunk.exblog.jp/





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【傑作】8
【名作】23
【良作】20
【佳作】16
【水準作】5
【凡作】0
【失敗作】1
【駄作】0

※惜作 4 ※超神回 4

(【傑作>名作】は【名作】とする)


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【失敗作】 ほぼ全否定、何とも残念な作品

【駄作】 取り上げる価値もない作品



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※惜作 (名作になりえた惜しい作品)
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